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2011年11月24日木曜日

ゼミワークショップ KA法

こんにちはシツチョーです。

さて、11月24日(木)は、ほぼ1カ月ぶりに全体ゼミを行いました。

ゼミでは「クリーン(きれい)にする」というテーマで、情報デザイン的アプローチによるデザイン開発のプロセスを全員でワークショップ形式で実施しています。実は、安藤研1期生13名のうち、情報デザインコースはわずか2名。ほとんどがプロダクトデザインコースの学生のため、情報デザインのアプローチの様々な方法論や言葉が共有されていないんですね。そこで、まずは基本を押さえましょう、ということで、全体ゼミの時間を1時間ほど使って順次実施しています。

フォトエッセイ

これまで、フォトエッセイおよびフォトエッセイを使ったインタビューを行いました。フォトエッセイとは、もともとはデザイナー自身に内省を促し、気づきを得る方法として発達しました。最近僕は、フォトエッセイをユーザー調査の時に実施し、インタビューの材料として利用しています。こうすることで、インタビューが得意でない人でも、ユーザーから深いレベルの意識を把握することができるようになります。


フォトエッセイにもいろんな作り方がありますが、以下は代表的な作成法です。僕が最近お勧めしているのは、テーマについてAタイプ、Bタイプ2つのエッセイを書いてもらう方法です。Aタイプは、現在実施していることについて、Bタイプは、やりたくてもできていないことについてエッセイを書いてもらいます。この2つを作ってもらうと、実はとても近接していたりして、なかなか深いなーと気付かされると思います。

ちなみに、「クリーンにする」というテーマで作成した、安藤研のある学生さんのフォトエッセイです。

タイプA:
タイプB:
いかがでしょう? タイプA(今やっていること)を観ると、本棚がきれいに整っており、こだわりを持っていることもエッセイから読みとれます。これだけを観ると、すごくきれい好き、整理好きという印象があります。

一方タイプB(やりたくてもできてないこと)を観てみましょう。どうでしょう。実際には机はごちゃごちゃ。本も床に平積みです。本そのものへのこだわりは読みとれますが、どうにも整理がついてないようです。エッセイを読むと、「学校の課題はパソコンでできる」→だから「リビングでもできる」→だから「机の上は掃除しなくていい」という、典型的な認知的不協和の状態が述べられています。

タイプAとタイプBが同一人物とは思えないようなフォトエッセイですね。でも、これこそ現実のユーザーだと思います。どうしても現場に入り込めなくても、事前にお願いしておくことで、ここまで情報をとることができるわけです。さらに、フォトエッセイをみながらインタビューをしてみましょう。さらにいろんな情報が得られるはずです。

KA法

KA法は、紀文食品の浅田和実氏が食品の新商品開発のために開発した、定性情報分析法です。出典は、「図解でわかる商品開発マーケティング」日本能率協会マネジメントセンター (2006)です。すごくシンプルな方法なので、ぜひ読んでみてください。


僕はこのKA法と、社会学の分野で行われている定性研究法であるグラウンデッド・セオリー・アプローチとの共通点を見出し、デザインの分野でも活用しやすい方法に多少モディファイし、ワークショップなどで普及を進めています。この方法の特徴は、初心者でも扱いやすく、初心者がこの方法を覚えると、フィールド調査でのものの見方や発言の捉え方への感度が高まる効果も期待できるからです。

最近では、いろんなところでKA法ワークショップを実施していますので、徐々に取り組んでいただく方が増えています。例えば、hcdvalueのみなさんは、携帯アプリのアイディア発想のために用いたりしておられます(hokorinさんのブログよりその1その2その3その4)。また、サイバーエージェントさんの勉強会でも試していただいていますhcdvalueのchachakiさんは、KA-itまで独自に作られたり。私自身は、オリジナルのKA法をフォトエッセイと観察技法と融合させたワークショップをデザイナーさん向けに実施しています。

KA法の概要は以下のとおりですが、詳細はまた機会をみてこのブログでも紹介したいと思います。


24日のゼミでは参加人数も少なかったので、全員でまずKAカードを作りました。インタビューで気になったユーザーの行動を「出来事」として抜き出します。

そこから、「ユーザーの心の声」を出します。さらに、「価値」を導出します。

とりあえず、全KAカードをはったところです。この後、いわゆるKJ法(親和図法)で分類を行います。
徐々にグループができていってますね。安藤研の学生は、だいぶ慣れてきたようです。普通にやれるようになるといいですね。
お! 一応完成!! やっているうちに、どんどん理解が深まっていき「こういうことじゃねー」という声が出ていました。そういうことです。行為に潜む価値を解釈できればそれでOKなんですね。ポイントは、全体像を観えるようにすること。

マップをリライトしてもらいました。本当は中分類にも「~する価値」と付けてほしかったんですが、まあいいでしょう。基本はポジティブに価値を書いて、できていないものには「未充足マーク」をつけます。今回はすごいグッドストーリーが紡ぎだされましたね。でもよく見ると、最初の「心おきなく捨てられる価値」がほとんど未充足で、結局出だしでほとんど引っかかっていることがわかります。

うまくいく体験がKA法でモデル化できましたので、これをベースに再度フォトエッセイの写真と照らし合わせて考察したりすると、さらに理解が深まります。

ちなみに、KA法は現実の行為に潜む価値が導出されるので、ある程度普遍性はありますが、あくまで現在の行為に関する価値が出てきます。ですので、私がよく「あるある、そうそう、ヘー」という3種類が出やすいです。

“あるある”は、言語化はできないまでもほとんどの人が感じている価値。押さえておくべきことですね。

“そうそう”は、言語化できていないことが多いが、個人差や頻度のばらつき、あるいはコンテキスト依存のため普段は意識しないが共感できる価値。共感度はこの“そうそう”が一番強いかもしれません。

“ヘー”は、これまで気づいていなかったもので、個人差や文化差によるものかもしれませんが、確かに存在する価値です。この“ヘー”が見つかると大きな発見ですが、別にこのヘーが出なくても十分新しアイディア発想にはつながります。

ということで、今回はKA法をやりました。

次回は、構造化シナリオ法に取り組みます。



HCDセミナー in NAGOYA 「サービスデザインとUX」を行いました

こんにちは、シツチョーです。

11月20日(日)に、名古屋にて「サービスデザインとUX」というテーマで、講演とワークショップを行いました。このセミナーは、横浜デジタルアーツ専門学校の浅野先生の企画で実現したものです。

浅野先生は、昨年くらいから名古屋のWeb系のデザイナーさんたちを対象に、HCDプロセスのセミナー+ワークショップを開催してこられたのですが、その参加者のみなさんを中心に、HCDから一歩踏み込んだ内容ということで実施しました。

会場は、すごくきれいなビル。窓から名古屋のテレビ塔が見えます。最近学校に通う時、毎回スカイツリーを観ているので、なんだかとっても小さく感じます。子供のころは大きいなーと思っていたのに。。。


前半:セミナー


さて、セミナーですが、僕は、「UXとはなにか?」ということで、これまでいろいろなところでお話ししてきたUXの基本的な考え方について、30分ほど講演いたしました。ちょっとアカデミックすぎなのか、時間がたりないのか、ちょっと消化不足な感はいなめず。。。もうすこし、UXということをアカデミックになりすぎない形で解説する内容も考えなきゃなと思いました。

ただ、UXというのはインタラクションの瞬間的な体験のみを言うのではなく、より広い捉え方をも含んだ概念だということはご理解いただけたようです。

浅野先生からは、「サービスデザイン設計法」について、概論的なセミナーを頂きました。サービスデザインという言葉は、最近少しずつ聞かれるようになりました。情報デザイン系では、多摩美の吉橋先生が指導されているサービスデザインの演習が有名です。

どうしても現役でビジネスをされているデザイナーのみなさんは、例えばWebの方だとアイディアがどうしてもWebを基本に発想してしまう傾向があります。本来、ユーザーの本質的な欲求を満たすことができれば、メディアはどのようなものであってもかまわないはずです。その意味では、サービスデザインはゼロベースで発想するということも求められているわけですね。

浅野先生の講演で、とても納得したのは、プロダクトやデバイス、アプリやWEBなど、実際にデザイン作業を行う対象に違いはあれど、それらはすべてはサービスデザイン、つまり“コト”のデザインの部分であって、ユーザー体験(UX)を実現するためのアプローチなのだ、という説明です。

おそらく参加されたデザイナーの方も、わかっておられる方は多いのだと思いますが、実際はどうしても気付かないうちに、モノのデザインをしてしまうことがありますよね。こういう考え方を意識しておくことは、コト発想のためには重要だなと感じました。

後半:ワークショップ

さて、後半はワークショップです。先日安藤研でも実施した、「最悪の旅行」という、ティナ・シーリグのブレインストーミングのワークショップを参考に、UXデザインの導入部分の考え方を理解する内容にモディファイしたプログラムを実施しました。

最初のアイスブレーキングでは、各自15秒で「今日の驚き!」を発表してもらう、という自己紹介を行いました。このアイスブレーキングはやってみると結構面白くて、15秒という時間を長く感じるように話すか、短く感じるように話すかは、結構違ってきます。これだけで、プレゼン能力も見えるし、人間性も見えるんですね。

ちなみに、15秒は短いと思われますが、結構いろいろできます。いつも説明するとき、「もしもしカメよカメさんよ」を歌うのですが、1番を歌うとほぼ15秒です。いろいろ歌ってみると童謡は15秒くらいで歌えるものが多いことがわかります。ちなみに、YouTubeには、「15秒でわかる世界の昔話」というのがあります。関係ないですが、、、

15秒は、人の第一印象を決める長さとも言われています。また15秒CMは、制作にはかなり難易度が高いそうですが、その分印象深い作品が生まれているようです。

さらに「今日の驚き!」は、なんでもいいのですが、驚きという自分自身の感情に素直になることを養うのに、とてもいいと思っています。大人になると驚くことって減ってきます。でも、小さなことに驚くことはUXを考える素地としても大事だといつも思っています。

ぜひ皆さんの会社でも、会議の前に15秒プレゼンをやってみたらどうでしょう? インプロビゼーション的に、お題を変えるともっといいと思いますよ。




さてさて、ワークショップは最初に「最悪の旅行」を15分間で発散してもらい、5分間にストーリーにしてもらいます。この時、1)状況、2)登場人物、3)最悪ポイント、4)結果 の4つを決めます。

発表したら、この4つの情報を、別のチームに渡します。受け取ったチームは、その4つの情報のうち、1~3までを変更せずに、結果である4を「最高」な状態にする「最高の旅行」のサービスを考えてもらいます。

これは結構難しいですが、制約がはっきりしているからこそアイディは出るものです。
最後の発表では、さすがデザイナーと思わせる画期的(?)なサービスアイディアを発表されたチームもあり、感激しました。

参加者のみなさん、本当にありがとうございました。またぜひ遠征したいと思います。

参加者の方の感想等へのリンク



第4回UXD initiative 「学習意欲をデザインする」

ご無沙汰しております、シツチョーの安藤です。

なかなかブログが更新できていませんでしたが、順次最近の活動を紹介していきます。

11月17日(金)に、第4回UXD initiativeを開催しました。今回のUXDinは、「インストラクショナルデザイン」をテーマに、議論しました。安藤研からは、登尾、宮川、別府の3名が参加しました。また、千葉工大デザイン科学科の2年生の方も初めて参加してくれました。

講師には、首都大学東京大学教育センター助教 渡辺雄貴先生。僕と渡辺先生は、別の大学院ですし、年も離れていますが、博士研究の副指導教員が同じ先生というつながりで、ドクターの時からいろいろ仲良くしてもらっています(ただの飲み友達ともいう)。

今回は渡辺先生に「学習意欲をデザインする」という観点から、学校での授業設計の際に学習者の意欲を考慮するためのARCSモデルを中心に、その基本的な考え方についてお話頂きました。


学習というキーワードは、日本では「勉強」という言葉と一緒に考えてしまい、何か学校でのみ行われる特別な行為のように受け止められがちです。しかし、実際学習はあらゆる場面で行われておいます。インタラクティブな製品やサービスの操作も、ユーザーが意識するかどうかの違いはありますが、そこには必ず「学習」の過程があるはずです。

僕の研究では、インタラクティブ製品のUXの評価は、利用意欲の高低が大きく影響するということが分かっています。では、意欲はデザインできるのか、ということが疑問になってきます。そのヒントを得るために、今回渡辺先生に教育工学の観点から基礎的な考え方を講演頂きました。

今回ご講演おただいてわかったことは、インストラクショナルデザインもインタラクションデザインも、デザインプロセスの考え方としては、基本的に類似しているということです。しかし、インストラクショナルデザインは、意欲を考慮してデザインことが重要との認識がある一方、インタラクションデザイン側には、まだ意欲や学習といった側面を正面から取り扱っていないというのが大きな違いです。

ノーマンは新しい書籍「複雑さとともに暮らす」の中で、ユーザー側にジャストインタイムで学ぶことの大切さを求めています。複雑な人工物環境下で暮らしているユーザーに、学ぶ手掛かりをどう提供するかは、インタラクションデザインの新しい課題と言ってもいいと思います。

僕自身まだもやもやしていますが、今後今回のアンサー企画として「UXDと意欲のデザイン」という回を企画したいと思います。多分、やるとしたらワークショップ形式で、参加者みんなで考える回にしたいと思います。

ご参加いただきましたみなさん、ありがとうございました。

2011年11月5日土曜日

ブレストの勉強

こんばんは、シツチョーです。

10月27日はゼミを行いました。今回は「ブレインストーミング」を勉強することがテーマです。実はブレストを上手に教えるのはむずかしい。前の大学でもどうしようか考えただけで、ワークショップまでに高めていませんでした。

そんなところに、今年の5月ごろに『20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義』で著名な、ティナ・シーリグさんの講義がNHKの「スタンフォード白熱教室」で放映されていました。さすがにすごいなと思っていました。真似したいとおもって、ノートには記録していましたが、まだ自分でやるには準備ができていませんでした。

そこで、まずこのNHKのスタンフォード白熱教室を観てもらおうと思って、NHKオンデマンドにアクセスして、ゼミで上映開始。ところが、どいういうわけか途中でストリーミングが止まってしまう。回線を無線から有線LANに変えてみたりしたんですが、ダメ。。。
仕方なく観るのは中止。。。うーん。原因は何だったんだろう。。。わからん。

で、ティナの講義から僕がメモしたノートを元に、即席ブレスト・ワークショップをやることにしました。

最初に、ティナの講義で話をされていた、ブレストのポイント・ノウハウについて説明。
その後、実際にやってみました。テーマは、ティナのワークショップを参考にしました。まず3つのチーム別れ、「最悪な旅行」をみんなで考えてもらいます。いつもはポストイットを使いますが、今日はマインドマップを使ってみます。

みんなで考えたことを、3分間でストーリーに仕立ててもらい発表してもいます。
うーん。ちょっとストーリーテリングがまだまだですな。キーワードをつなげるだけでなく、ストーリー(構成をもった物語)を構築することに慣れましょう。

ともかく以下、3つのグループがそれぞれに、最悪な旅行を考えてくれました。
  • 1)彼女と二人で旅行に行こうと思ったら、彼女がパスポートを忘れて、飛行機に乗り遅れる。
  • 2)海外に旅行に行ったら、乗り換えの飛行機に乗り遅れて、警察に連れて行かれる(話がまとまってなくてわからず・・・)
  • 3)みんなで遊園地にいったが、自分以外のみんな体調不良。そのうち何人かが帰ってしまう。
細かいところはわすれましたが、こんな感じ。
次は、この最悪の旅行を、別のグループにわたし、その状況を「最高の旅行」にするサービスを考えてもらいます。

再びブレスト。人の意見の乗っかる。それがポイントですね。
考えてもらったアイディアを発表してもらいます。さてどうなりましたか。

●最悪のアイディア1は・・・
  • 初めて旅行に行く人に、忘れ物チェックや空港送迎タクシーをサービス。“絶対安心初めての旅行サポートサービス”は、なんと無料!
おお! 無料出来るかどうかはわかりませんが、なんだか良さそうなサービスに変換できましたね。あったらきっと使う人はいるでしょうね。

●最悪のアイディア2は・・・
  • 飛行機に乗り遅れても、次の便にいつでも乗れる。そしてCAさんが特別待遇! 乗り遅れた気分もぱーっと飛んじゃいます!
うーん。女性のCAが特別サービスという、なんとも男子の考えたサービスですなw。機内のサービスをよりよくするアイディアはあってもいいかもしれませんね。

●最悪のアイディア3は・・・
  • 体調が悪い時のお出かけに、薬会社がやっている薬のパビリオンへ。あなたの症状にあったお薬を選んで差し上げます。早く直った人にはプレゼントを。ぜひお越しを!
すっ飛んだアイディアですが、こんなテーマパークがあってもおもしろいかもしれませんね。製薬会社のプロモーションをかねて。薬事法がひっかかりそうですが。。。

十分な時間はありませんでしたが、最悪な旅行が楽しい旅行に変換できました。

今の学生さんは、他人のアイディアを批判するということはない代わりに、自分のアイディアがつまらないかもしれないと思って、発言しないという傾向が強いように思います。でも、このワークショップでわかったように、どんなにつまらないこと、最悪なことでも、視点を変えて発想すれば、最高のアイディアにすることも出来るわけです。つまり、だめなアイディアはありません。まずは出してみないとわかりません。

ブレストは練習あるのみ。今後もブレストの練習を重ねていきたいと思います。